アメリカひとり旅日記3

9月23日(日)  ツーソン  晴れ

 

 にすることもないので、ゆっくり8時過ぎに起きた。今日は日曜日のブランチ・サービスエリサパンケーキを焼いてくれた。もちろんごちそうになった。日本のいわゆるホットケーキとは違う。見た目は同じなのだが、そんなに甘くはなかった。3枚も食ったら腹がいっぱいだ。その後は、インターネットをした。「オールド・ツーソン・スタジオ」のことを調べてみたら、明日は月曜で休みらしい。しかたがないので1泊延ばして火曜日に車で送ってもらうことにした。

 

 リゾナ大学まで歩いてみた。けっこう距離がある。ツーソンの日中はやたら暑い。日なたを歩いているとそのまま死んじゃうんじゃないか?ってくらい。でも、やたら乾燥しているので、汗はほとんど流れることがない。やっぱり砂漠の中の街なのだ。アリゾナ大学に着くと、またもや偽学生のようにキャンパスを歩き回った。アリゾナ州立博物館に入ってみた。ネイティブアメリカンのホピ族やヤバパイ族やメキシコで会ったタラウマラ族とかの展示があった。すっかり見入ってしまった。英語の説明も本気で読めばなんとなくわかる。タラウマラ族の宗教観は面白い。「神と悪魔は兄弟で、そのバランスの中で人間は生きている。」と言うのが興味深かった。あまり本気で展示を見ていたのと酷暑の中を歩いて来たので、すっかり体力を消耗してしまった。博物館を出るとキャンパスの芝生の上でしばらく寝転んでいた。そしてJACK IN THE BOXで昼飯を食った。その後、美術館に行ってみたが、今日は日曜日なので4時半に閉館していた。また明日もあるさ、と思いユースに戻ることにした。途中、キャンパスの前のドラッグストアで夕食の材料を買った。ここのレジのオネェチャンはやたら愛想がいい。いつも笑顔だ。学生のバイトなのかも?

 

 ースに戻ってみるとエリサが部屋を移動してくれと言うのでそうした。外のベンチでタバコを吸っているとロベルトがやって来たので話をした。彼は30年近く前に日本で働いていたことがあるらしく、いま俺が住んでいる駅と同じ所に住んでいたのだった。こんなマイナーな駅の名前をアメリカ人から聞くとは思っていなかった。そんなこんなでロベルトとは話がはずむようになった。話をしているうちに遠くに見えていた山が黄色く霞んできた。ロベルトが「砂嵐が来るぞ!」と言って5分も経たないうちにそいつはやって来た。いきなり風が強くなった。ロベルトが「Welcome to Arizona!」と砂嵐に言った。そして安全なユースの中に入った。

 

 夜も買って来たスパゲッティーを茹でて自炊して食べた。ここのユースは本当にアットホームだ。ホームステイしているような感じがする。大学も歩いて来たしアメリカの大学生にでもなったような気分になる。キッチンにいるとまたロベルトがやって来た。「ピンポンするか?」と誘われたので裏庭で相手になってやった。裸電球ひとつなので暗くてボールがよく見えなかった。ロベルトは日本にいる時は日本語を学ぶ為によくピンポンをしていたと英語で教えてくれた。明日も夕方5時からピンポンをする約束をした。それにしてもロベルトは謎の人物だ。仕事は複数やってるらしい。英語で言ってることが半分しか理解できないのが悔しい。

 

 晩やっているビデオの上映会は、今夜は誰かが借りて来た黒澤明の「」だ。アメリカで日本語のビデオを見るのも奇妙な感じだ。まわりのみんなは英語の字幕を読んでいる。映画の内容は日本人の俺が見ても面白くなかった。日本の昔の時代設定なので、今の日本もビデオのままかと思われるのも嫌だった。ビデオ観賞の後はロベルトと外のベンチで話をした。ビールまでごちそうになった。俺が分りやすいように簡単な英語で話してくれるので気が楽だ。「アメリカに住んでみたいなぁ・・・。でも、英語がなぁ・・・。」と俺が言うと、ロベルトは「アメリカでも移民が多いからまともな英語を話してる人なんてそんなにいないよ。大丈夫さ。」と言っていた。日本に帰ったら成田で絵葉書を買って送る約束をした。


前の日へ

   

次の日へ

日記の目次へ

他の旅も見てみる

HOME