アメリカひとり旅日記3

9月17日(月)  クリール 〜 チワワ  晴れ

 

 っきょく、今日クリールを出ることにした。便座のあるトイレ、お湯の出るシャワー、毛布のあるベッドは魅力的だが、ここはなんか馴染めないんだよな、英語をあまり上手く話せない俺にとって。無料の朝食を摂ってから11時のチェックアウトまでクリールの街をぶらついた。女の人はみんな民族衣装、男はテンガロンハットをかぶってウエスタンスタイルの格好をしていた。おみやげ屋やら雑貨屋が通りに並んでいて、日本の温泉街のような雰囲気をかもし出している。なんとなくチワワ鉄道駅前の小さなバスターミナル(と言っても、たんなる泥道の広場)に行ってみたらファレス行きのバスが停まっていた。そうだ、バスでもファレスまで行けるんだ。ってことは、チワワ行きもあるはず。今日もチワワ鉄道に乗って行こうと思っていたが、チワワまでは6時間もかかる。ディビサデロの峡谷も見たし、この先チワワ鉄道に乗るのは移動以外の目的は何もない。なによりもバスの方が安い。150ペソ。鉄道の半分以下だ。しかも速いはず。

 

 てなわけで、クリールの街の写真を撮り終えると急いで宿に戻った。バスの発車時刻をチェックすると12:00pmがあった。身支度をして11時前にチェックアウト。おばちゃんに言われるままに部屋の鍵を返したが、英語を話せる宿のスタッフがいなくてキー・ディポジットの50ペソは返してもらえずじまいだった。バスターミナルに戻ってみると「チワワ」と表示してあるバスが停まっていた。ドライバーにチワワ行きのバスかを確認してみた。しかし、それは午後1時発のバスらしかった。そのバスの前には白人のバックパッカーのカップルも待っていた。チケットは前の建物で買うらしい。そこがチケット売場とは初めて来た人は気づかない思う。単なるお菓子の売店にしか見えないから。チケット売場のセニョリータは笑顔で愛想がいいのが救いだった。スペイン語の会話集を棒読みにして「バスでチワワまで何時間かかるの?」と聞いても笑顔で答えてくれた。

 

 ケットを無事手に入れて1時間後に来るバスを待っていた。先住民族の少年が俺にまとわりついてきてなんか言っている。「ノ− エスパニョール(スペイン語わからない)」って何度も行ってみたが笑顔で何やら言っている。泥だらけの服に鼻水をたらしている。たぶん小銭をねだってるのだろう。でも俺は少年にけっして小銭をあげなかった。1ペソや2ペソぐらいあげても惜しくはない。でも、そうすることが本当にその少年の為になるのか疑問だったから。このまま人にモノをもらって生きてゆくのが当たり前で、そうすることでしか生きていけないと思って欲しくなかった。だから小銭をあげなかったのだ。

 

 うこうしてるうちに向こうの泥道から真新しいバスがやって来た。「チワワ」の表示がある。この新しいバスに乗れるとはラッキーだ。乗客が降り終ってからドライバーにチワワに行くかを確認してみた。が、「向こうのバスだ。」との答え。チケット売場の前に停まってるバスらしい。でも、そのバスに「チワワ」の表示はない。しかもボロボロもいいとこ。人がとんでもなく乗っている。これで本当に5時間も旅するのかと思うと不安になった。一番初めに俺が見たチワワ行きのバスの前で待っていた白人バックパッカーのカップルがこのボロいバスに乗るのを見た。やっぱりこのボロいバスがチワワに行くらしい。バスの貨物室にバッグを自分で入れた。もういっぱいになっていた。チワワまで俺のバッグが無事であることを祈って乗車した。まあ、この状態じゃ、なくなっていても不思議じゃないけど。さっきのバックパッカーがいたので、「このバスはチワワまで行くの?」って英語で聞いてみた。「チワワ行きだけど・・・。本当にそうだといいけどね。」って答えが返ってきた。車内はにエアコンはなく、ムッとした熱気と独特の臭いがする。席はどこも空いていない。途方に暮れていると小さな男の子を連れて女の人が、子供をひざに乗せて席をひとつ空けてくれた。

 

 午過ぎにバスは走り出した。立っている人も何人かいる。山岳地帯を走り抜けると果てしなく続く草原。不思議な形の岩が現れる。遠く行く先には虹がかかっている。その中を抜けると、突然激しい雨が降ってくる。バスは小さな街に何度か停まった。その度に人が乗り降りしたり、ブリトー売りや飲み物売りが乗ってきた。そしてチワワのバスターミナルに着いた。ここはティファナよりも大きなターミナルだった。外に出るとまっ先にセントロ行きのバス乗り場を探した。タクシーには乗りたくない。市バス乗り場らしき所を発見したが何の表示もない。バスが1台やってきたので「セントロ行き?」と聞いてみたが違った。すぐにまたバスがやって来た。セントロ行きだったので乗った。バスはやたらゆっくり走る。途中にバス停などない。道路のどこからでも乗客を拾うのでスピードが出せないのだ。「地球の歩き方」の地図を見ながら交差点の度に通りの名前が地図に載っているかをチェックした。方位磁石を使いながら。なんとなく位置関係がつかめて来たのでソカロ(広場)の側で降りた。

 

 ワワの街は予想外に大きかった。カテドラル(教会)もデカイ。さすがに州都だけある。歩きながら「地球の歩き方」に載っている安ホテルを探した。1軒めをパスして2軒めに見つけた「HOTEL SAN JUAN」に決めた。昔は立派だったのに廃れて汚くなってしまったような感じの宿だった。中庭には噴水の跡もある。フロントのオジサンはやたら愛想がよかった。1泊95ペソ。安い。部屋に入ってみるとちゃんと便座もあるし、シャワーのお湯も出た。部屋は汚いけど十分だ。しかも今回の度で初めて部屋にテレビがある。カラーテレビなのに白黒でしか映らないけど。

 

 ワワの街をぶらつくことにした。もしかしたら昨日チワワ鉄道で出会ったあの2人もこの街にいるかもしれないと思った。街はけっこう賑わっている。歩行者天国もあって店もけっこうある。それにしてもやたらウエスタンブーツの店がやたらに多い。さすがに革で有名な街だ。それとロスモチスでも見た「THE ONE」と言う店もあった。「GAP」のパクリみたいな店だ。ベンチでタバコを吸ったりしながらぶらぶらしていた。ボロホテルへの帰り道、屋台でブリトーを食った。そこの親切なオバチャンがスペイン語でいろいろ説明してくれた。俺にはよく分らなかったけど。


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