アメリカひとり旅日記2

5月11日(木)  アトランタ 晴れ

 空港へ向かう為に6時起床。シャワーを浴びて素っ裸でウンコをしてたら、「What’s Upニイチャン」にドアを開けられた。この同室の黒人ニイチャンは部屋のドアを開けて入って来る度に「What’s Up!」と言って笑わせる。アメリカのテレビで流行っているバドワイザーのCMのまねらしい。最後の荷造りをしていると、2段ベッドの上で寝ていた久野君が起きて来た。そして玄関の前まで見送りに出てくれた。彼はここ2、3日で英語恐怖症になってしまっていたが、まだ2ケ月も旅が残っている。彼ならきっと、これからの旅で何かを見つけるに違いない。俺はそれが少し羨ましかった。「連絡をとり合おう」と別れの挨拶をして空港に向かった。途中、What’s Upのニイチャンに会った。これから日本に帰ることを言うと「Take easy, man!(まっ、気楽にいってくれよ)」と言ってくれた。

 アトランタ空港まで地下鉄で行けるので便利だ。チェックインを済ませ、もう少しで搭乗と言う時に経由地のシカゴが雷雨のため飛行機が飛ばないとアナウンスがあった。俺はこんなケースは初めてだったが、なんとかなるはず、と思って余裕をかましてベンチに座っていた。が、シカゴから成田行の便は出てしまったようだった。ヤバイと思ってカウンターへ行ったが、「呼ぶまで待て」とのことだった。空港内をぶらぶらして戻ったら、ちょうど成田へ行く乗客を集めて何やら説明をしていた。俺は英語がよく聞き取れなかったので、近くにいた日本人のオッサンに尋ねてみた。シカゴまでは行けても成田便には接続できないのでアトランタに泊まることを係員は薦めてる、とのことだった。

 しかし、オッサンの俺を見る目は異様に冷たかった。オッサンのまわりにいる2人の日本人女性も俺とは人種が違うように思われた。気のせいかも知れないが、汚い格好で英語が理解できない俺が側にいるのが迷惑そうに見えた。なんか嫌な感じだ。で、ベンチに座っていたもう一人の日本人のオッサンと話をしたら、この人がカウンターで通訳もしてくれた。こっちのオッサンはいい人だ。林さんと言う名前だった。

 カウンターでホテルのバウチャー券と食事券をもらって林さんといっしょにホテルへのシャトル乗り場まで行った。しかし、待てど暮らせど「WESTRN HOTEL」と書いてあるシャトルは来ない。しびれを切らして林さんはまわりのシャトルのドライバーに尋ねたり、電話をしてみたりしたが、どこで聞いても「そこで待っていれば来る。」という答えしか返ってこない。呼び出し専用の電話で呼んでみたら、「BEST WESTERN INN」のシャトルが来てしまう始末。終いには俺の聞き違いで違うシャトルに乗ってぜんぜん違うところに行って空港まで往復してしまった。

 とうとう3時間待ってもシャトルは来なかった。案内所で電話番号を聞いて電話をしたら、「すぐに行く」との事だった。でも、やっぱり来ない。「もしや?」と思って「WESTIN HOTEL」と書いてあるシャトルに尋ねてみたら、電話番号を見るなり「このシャトルだ。」と言われた。このシャトルだったら10分おきに来てたじゃん!いままでの3時間の苦労はなんだったんだろう?結局、ユナイテッドのカウンターの係員の書き違いだった。

 で、着いたホテルが俺にとっては超高級ホテル。今回、いや、今までの旅で泊まった一番いいホテルだろう。しかも無料だ。でも、ユースに泊まって旅をしていた俺には不釣り合いな場所だ。何もかも立派にできているけど、冷たい感じがする。今の俺にとって、ここの高級さは何の意味も成さない。かえって居心地が悪いくらいだ。飯もタダだけど、ここの高級なレストランでは食う気がしない。

 林さんとはチェックインの時にはぐれてしまって、ここまで来れたお礼ができなかったのが心残りでしかたがない。それにしても、日本に帰りたくない俺の願が通じたのか、とんだハプニングになってしまった。


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