アメリカひとり旅日記2

5月7日(日)  ニューオリンズ 晴れ

 ユースの2段ベッドの上で目覚めた。ここのユースは、ベッドとベッドの間が狭すぎて圧迫感がある。昨夜は寝たのが3:00am過ぎだった。この狭さのせいで荷物も広げられず、昨夜は着の身着のまま寝た。とりあえずシャワーを浴びてからダイゴ君とチェックアウトした。今日はニューオリンズを離れる。俺はグレイハウンドバスで最終目的地アトランタへ、ダイゴ君アムトラックサンアントニオに行く。

 タクシーをフロントで呼んでもらったが、ジャズフェスティバルのせいで捕まらない。俺達は大きな荷物を持ったままストリートカー(路面電車)に乗り込みバスディーポとアムトラックの駅がいっしょになったユニオン・パッセンジャー・ターミナルへ。俺は10:45pmの夜行バスダイゴ君は1:30pmのアムトラックで出発する予定だ。2人ともまだ出発には時間があった。荷物をコインロッカーに預けるとフレンチクォーターに繰り出した。バーボンストリートのはずれにあるフレンチマーケットをうろついた。この辺りは露店になっていていろいろなものが売られていた。一見、フリーマーケットの様な所だった。香辛料の店、果物屋、Tシャツ屋、サープラスの店などありとあらゆる店がある。ダイゴ君はおみやげを物色していたが、俺はこれと言って買うものが無かった。ただ、等身大の子供のぬいぐるみ($35)が気になった。着ているものは本物のオーバーオールだったりして同じ物がひとつとしてない。後ろから見るとあまりにもリアルで、持って歩いていたら誘拐犯と間違えられかねない。5071.jpg

 腹が減ったので昼飯にした。一昨日の夜3人で夕飯を食ったフレンチクォーターの角のレストランだ。食事の後、まだ時間があったのでバーボンストリートをあても無くぶらついた。おみやげ屋に何軒か入った。ダイゴ君は出発の時間が迫って来たので、ここでお別れだ。彼には本当に世話になった。ヒューストンのユースで彼に出会わなかったらニューオリンズには来なかったかも知れない。部屋を確保してもらったり、英語ができない俺のフォローをしてくれたり。お互い連絡をとり合おうと言うことで別れた。

 再び一人になった俺は特にすることまなかった。バスの時間までは10時間以上もある。どうしようか?そんなことを考えながら足はミシシッピ川に向かっていた。川に停泊している蒸気船に乗ってみたくなった。チケットブースに行ってみたが、今日はお目当ての蒸気船には乗れないらしい。代わりに小さい方の船が運行していると言われたが、去年メンフィスで乗ったのと同じ様な感じだったので辞めておいた。だいたい、値段がいっしょで小さい船じゃいただけない。

 ニューオリンズの日々もいろんなことをした。3人いたから一人で行けない所にも行けたし、やっぱりユースに泊まる方が面白い。誰かと想い出を共有できるのは素晴らしいことだ。モーテルやホテルを泊まり歩く旅も快適かもしれないけど、ユースにはそれ以上のモノがある。そんなことを考えていたら、絵ハガキを誰かに書きたくなったので買って来てミシシッピ川のほとりのベンチで書いた。川辺では休憩中の黒人労働者が観光客を相手にアカペラで「JOHNNY B GOODE」を唄っている。

 5072.jpgもう本当にすることも無くなった。10:45pmのバスでアトランタに向かうつもりだったが、5:45pmのバスで行くことにした。ただこのバスで行くと、アトランタまでは12時間なので早朝着くことになる。ターミナルに行ってみると、なんとダイゴ君がアムトラックをまだ待っているではないか。もうとっくに出発しているはずなのに。話によると1:30pmの列車が遅れて3時になって、さらに遅れて出発が5:45pmになったらしい。しばらく話をしていたが、アトランタ行きのグレイハウンドバスが来たので俺はバス乗り場に行った。バッグをバスに預けようとして係の黒人ニイチャンの所に持っていったが、地面に座り込んだまま動こうとしない。バッグをバスの側に置くとそのニイチャンはただうなずくだけ。フォートワースの一件もあったのでバスに載せるところを見たかったのだが・・。こんな仕事してたら日本じゃきっと殺されてんだろうな?

 やってくれるぜ、グレハン!途中、海らしき所にかかった橋を渡り、景色を楽しんでいるうちにウトウトしてしまった。すると、突然バスがエンスト。ラジエーターの異常らしく近くのディーポまでなんとか走って停車。ドライバーが蛇口につないだホースで水をかけているが直らない。さんざん待った後、ドライバーが代替えのバスをとりにニューオリンズまで行ってしまった。それまで何もすることがない。初めはバスの中で寝ていたが、車内はエアコンが切れていて暑くなってきた。他の乗客達はバスから降りて地面に座り込んだりどこかに食事に行ったりしている。俺もケツが痛くなって来たので降りて地面に座り込んで待つことにした。

 9:00pm。2時間待ってやっと代替えのバスが来た。乗車してすぐに眠った。夜中の1時過ぎごろモービルの街のディーポに着いた。ほとんどの乗客が降りたので不思議だったが、俺は眠かったのでそのまま寝ていた。乗っているのは俺と黒人ニイチャンの2人だけ。バスが動き出してしばらくすると再びディーポに戻った。黒人の係員が乗ってきて強制的にバスから降ろされた。バスの整備をするらしい。バスから降りてどうなってるのか尋ねてみたら、アトランタ行きのバスは3時半まで来ないと言う。また2時間待ちだ。ディーポでサンドイッチを食べた後、待ち合い室にいると係員が何かを配っているのでもらってみた。バスが遅れたお詫びの食事券($5)だった。もっと早く配れ、ってぇの!たった今、俺は食事をしたばかりだ。ベンチで座っていると白人のオバチャンが「食事券はもらった?タダで食事ができるよ。」と親切に教えてくれたが、俺はこのバウチャーを記念にとっておくことにした。


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