アメリカひとり旅日記2

5月6日(土)  ニューオリンズ 晴れ

 突然、朝、ダイゴ君の「起きて下さい!ユースホステルの部屋がとれたんで、1時間以内に行かないと!」と言う声で目が覚めた。俺が寝ている間に彼はユースに電話を入れて部屋を確保してくれたのだった。俺は昨夜、ダイゴ君が寝た後も日記をつけていたので寝たのが3時過ぎであった。かなり眠い。シャワーを浴びて目を覚ましたかったが時間が無い。早くユースでチェックインしないとキャンセルされてしまう。とりあえず即行で着替えて荷物も持たずに部屋を出た。仁美さんはすでに外のプールのところで待っていた。ちなみに、彼女の部屋は、明け方に天井からの水漏れがあったらしく違う部屋になっていた。仁美さんは荷物をまとめてあったので、そのままチェックアウト

 俺達2人は、荷物を取りにもう一度このモーテルに戻って来なければならない。3人でタクシーに乗ってユースに行ったのだが、俺は寝ぼけたままだったので記憶がない。それにしても、ジャズフェスティバルのこの時期に3人分もベッドを確保できるとはラッキーだ。ダイゴ君に感謝。やっぱり時間帯も関係あるのかも知れない。朝、8時から9時の間にチェックアウトがあるので、その時間がねらいめなのだ。

 ユースでチェックインしてベッドを見に行ってみると、俺のベッドに誰かが寝ている。これからチェックアウトする人で、その後でベッドが空くのかと思った。カウンターで確認してみると、この男は3日前にチェックアウトしているヤツだった。タダで3日間も泊まっているとは、とんでもねぇ野郎だぜ。

 ダイゴ君は荷物を取りにモーテルに戻った。ここは11時までにチェックアウトしなければ。シャワーを即行で浴びてユースに向けて出発。その前に、昨夜チェックを入れておいたモーテルの近くのレストランでメシでも食おうか、と言うことになった。ここのレストランはタクシードライバーの御用達らしく、昨夜も深夜にもかかわらず満席になっていたのであった。これは隠れた穴場かも知れない。ここでは観光客用ではない本当の地元の料理が食えるかも?そんなことを考えながら2人で大きな荷物を持ったまま入ってみた。レストランの中は従業員も客も全て黒人であった。入った瞬間に視線が痛かった。「なんだ?おまえら」って感じで、全員俺達を見ている。満席だったこともあってメシは止めといた。

 ユースへはタクシーで行くことにした。が、流しのタクシーはなかなか捕まらなかった。ダイゴ君がやっとタクシーを捕まえて再びユースに到着。さっき俺のベッドで寝ていたヤツはつまみ出されたらしくベッドは空いていた。ここのユースは10人部屋で通路が狭いので、荷物置き場が確保できないのが辛い。中庭にはテーブルや自動販売機がある。そこを通って各部屋に行くことになっている。

 5061.jpg今日は、「カフェ・デュ・モンド」に7:00pm集合にして3人でプリザべ−ションホールジャズを聞きに行くことにした。仁美さんスワンプツアーワニを見に出かけた。ダイゴ君はメシを食いに「MOTHER’S」と言う店に行ってみた。昼飯時だけあってすごい行列になっていた。行列で待たされたあげく、中に入ってみると、さらにすごいことになっていた。ここは半分セルフサービスのような店だから、席は相席だし、オーダーするのに並んでいると食器を下げるウエイトレスとしょっちゅうぶつかる。自分の名前を言ってオーダーして料理が出来上がると名前を呼ばれるのだが、日本人の俺にはこれがこっ恥ずかしい。レジで飲み物をオーダーした時に、何か手違いがあって3つもレジを打たれてしまった。この混雑の中で文句を行ってもしょうがないので、Dr.Pepper3個7UPのカンをしっかりくすねて逆に儲けてやった。

 メシの後、することもなく通りをぶらついていると小さなジーンズショップを発見。ダイゴ君コンバースのオリーブグリーンを探していたので入ってみた。バーゲンをやっていたので安かったが、サイズがなくて断念。俺はLevi’s505のショーツを買った。あまりにも暑かったので着替えたかったのだ。$39が$28になっていた。日本にも入っていないモノだし、いい買い物だと思う。

 ミシシッピ川のほとりのベンチで休んでいるうちに寝てしまったダイゴ君はひとりでショッピングへ行ってしまった。目覚めてから荷物が鬱陶しかったのでユースに戻ることにした。日本人以外の観光客はほとんどが手ブラで歩いている。それが前から羨ましかった。俺も手ブラで街を歩いてみたくなった。ユースへ路面電車で戻ると、さっき買ったばかりのショーツに着替え、パスポートカメラだけを身につけて歩いた。すごい解放感だ。いつも肩からバッグを下げていたからなおさらだ。

 歩いてミシシッピ川まで戻った。川沿いを歩いているとベンチに、仁美さんダイゴ君を発見。またしても偶然の勢揃い。まだ5:00pmだ。先に来ていた2人は、ここにいれば俺が来るかもしれない、と話していたところだったらしく驚いていた。

 しばらくそのまま座って話をした後、フレンチクォーターへ夕飯を食いに行った。何にしようかと迷いながら歩いたが、今日はアメリカンにした。やっぱり俺にはケイジャン料理よりもアメリカンの方がいい。安くて量があるし。

 でもって、今日のメインイベントのプリザべ−ションホールへ。ここは昔の建物で中はすごく狭い。日本の田舎にある古い木造校舎の教室と言った感じだ。ここでは毎晩8時半から30分1ステージでジャズのライブが行われている。$5払って入場。木製のベンチが3列ぐらいだけあって、そこに座れなければ後ろで立ち見か前で床に座って聞くことになる。俺達は当然一番前で床に座って聞いた。俺達が足を延ばしたらプレーヤーの足にぶつかるくらいの距離だ。特等席だ。床に座っているのはなぜか日本人が多い。演奏が始まる前にネコが入って来たのでかまっていた。5062.jpg

 バンドの編成はトランペット、ドラムス、ピアノ、クラリネット、サックス、ウッドベース、そしてトロンボーンだった。トランペットの黒人はボーカルもとる。アンプをいっさい通していないので、すごく暖かみがある音で聞けた。トロンボーンプレーヤーの赤いソックスが印象的だった。ウッドベースの黒人のじいさんは本当に楽しそうに演奏している。いい笑顔だ。トランペットの黒人はいかにもジャズメンらしくスーツがきまっていた。2ステージ聞いた。ニューオリンズまで来てやっと本物のジャズが聞けた。

 プリザべ−ションホールを出てそのままバーボンストリートへ繰り出してみた。土曜日の夜だけあって新宿の歌舞伎町状態の人ごみになっている。まわりのライブハウスはドアを解放しているので大音量の音楽が通りにあふれかえっていた。どこかに入って見ようと俺達は歩き続けた。2、3候補が見つかったがオールディーズ系ライブハウスに入ってみた。2ステージ見て店を出た。

 ユースへは路面電車で戻った。中庭で俺達3人は3:00amまでいろいろなことを話した。に刺されながら。こんな風に仲間と話しを夜更けまでしていると学生時代に戻ったような気分になる。社会に出てこんな感じで話せることなんか滅多にない。お互いに旅人だからできるのかも?仁美さんはこのまま朝6時のグレイハウンドバスニューヨークに戻ることにしたらしい。英語が話せる彼女にはいろいろお世話になった。「ニューオリンズは楽しかった。」と言うことで、俺達3人はそれぞれの部屋で眠りにつくことにした。

 


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