アメリカひとり旅日記2

4月22日(土)  エルパソ 晴れ

 昨日の疲れで朝寝坊。ハウスキーピングのノックも断わった。今日は12:30pmにアントニオや他の宿泊客と国境を越えてファレスに行くことになっている。朝飯をコンビニで買って帰って来たら、入口のベンチで淳太君ともう一人の日本人が話をしていた。彼は今朝ここに到着したらしい。静岡出身で仕事を辞めてひとり旅に出たらしい。彼はホワイトサンズにいっしょに行ってくれる仲間を探していた。が、スイスから来た女の子ミリアムとこちらもスイス出身の男性フィルが明日行くことになっていたので彼も合流した。

 12:30pm過ぎにアントニオがやって来た。ファレスへ行くメンバーは、アントニオを案内役に淳太君、小林君静岡の彼フィルミリアムそしての6人だ。歩いて行くのかと思ったら、サンハシント広場からトロリーに乗るらしい。4221.jpgトロリーを待つ間フィルは持って来たスイスチョコレートみんなに一口ずつ配った。アントニオフィルがスイスチョコがNo1か、アメリカのチョコがNo1かふざけて言い争っていたのは笑えた。トロリーに乗り国境の橋の近くで降りた。橋のアメリカ側で25セントを払って通過。橋の真ん中のボーダーラインで写真を撮ってもらった。

 ファレスの街はアメリカより汚い。ゴミは散らかりっぱなし、歩道には穴があいたまま気をつけないと落ちそうだ。まずデューティーフリーでタバコの買い方をみんなに教えた。俺もおみやげ用に1カートン買った。国境を出る時に店の人がそこまで運んで来てくれるらしい。ちなみに、道端の屋台でタバコを買うとアメリカに戻る時ヤバいらしい。店を出ると小林君が行方不明になっている。彼は勘違いして4時に国境の橋に集合だと思ったらしい。

 その後は、1つのビルが丸ごとおみやげやみたいなマーケット連れていってもらった。ここはアメ横みたいな感じで銀製品メキシコの民芸品革製品を売っていた。アントニオはみんなに「絶対に店員の言い値で買うな。欲しいものがあったら俺に言ってくれ。絶対に安くさせるから」と言ってビールを飲みに行ってしまった。淳太君はバッグを探していたが気に行ったものが見つからない。俺も別に欲しいものはなかった。4222.jpg

 集合時間までかなり時間があったので、俺と淳太君はファレスの街をブラつくことにした。屋台ではスイカとかえたいの知れない果物を細かく切ってカップに入れて売っている。うまそうだったので$1払って試してみた。が、超マズイ。なんと唐辛子のトッピングだ。即行でゴミ箱行き。

 昼飯にタコスでも食おうと思ったが、どこに店があるのか分らない。街角で地元の女の子に英語で、なにかいい店がないかと尋ねても英語が理解できないらしい。大部分のここの人達はスペイン語しか話せないみたいだ。パソコンショップの前にいた5、6人の学生達に淳太君が尋ねてみたら、向こうはスペイン語こっちは英語で話が通じないのに盛り上がってしまった。しばらくわけの分らない会話をした後、学生達が教えてくれた辺りの店に入ってみた。初めはバッフェ形式かと思ったら、そこの店員が盛りつけしてくれた。でも、他の地元の客はメニューでオーダーしている。この店でUSドルが使えるのか不安のままチェックしてもらったら$12。安いのだろうか、高いのだろうか?なんかボラれたっぽい。4223.jpg

 4:00pmにさっきのマーケットに集合なので戻った。静岡の彼ミリアムフィルが先にいた。しばらくしてアントニオが来た。小林君は現れなかった。そのまま国境の橋まで行ってデューティーフリーで買った荷物をピックアップ。25セントをを払い。アメリカ側でパスポートを見せて入国。税関でタバコの税金を払った。フィルはアントニオの注意にもかかわらず屋台でタバコを買ったので没収。帰りはみんなバラバラに帰った。俺はアントニオの自炊用の買い物につきあってユースに戻った。

 今夜の飲み会まで時間があったので、ひとりでエルパソの街をぶらついた。が、6:00pmになるとほとんどの店が閉まっていた。まだ時間があったのでユースの外でタバコを吸いながら淳太君と話をしていたら、ミリアムフィルが現れ、静岡の彼を見なかったかを尋ねられた。俺は彼の名前を思い出せなくて教えられなかったのがくやしい。あの3人は明日ホワイトサンズに行くのでレンタカーを借りるに行くはずだった。しかし、静岡の彼が8:00pmの待ち合わせに現れなかったのでミリアムフィルは少し怒っているようだ。けっきょく彼らは2人でレンタカーを借りに空港へ行った。

 8:30pmアントニオ登場。これから再び国境を越えてファレスのクラブに遊びに行く。今回のメンバーは、イギリスから来た年令不詳の女性マリー淳太君、彼がフラッグスタッフのユースで会った中国系カナダ人の女の子グレースそして4224.jpg

 ファレスの街に着くとます両替所でUSドルメキシコの金に替えた。そしてクラブへ。ここの音楽はメキシコ音楽ばかりでスロー。ダンシングクイーンYMCAもスペイン語でリズムもメキシカン。こんなのでよく踊れるものだ。最初はアントニオとグレースばかり踊っていた。酔いも手伝って表情の固かったマリーもメキシコ人の男に誘われるままに踊り始めた。淳太君は一人でナンパしに行ってしまった。俺はテーブルに誰もいなくなるのは危険なのでみんなのバッグを見張っていた。そこへさっきからこっちを見ている地元のケバイねぇちゃんが誘ってくれと俺にアピールしている。とりあえず笑顔でかわしておいた。ちなみに、ここのルールは男が先にダンスに誘っても女の子が男をフロアーまでエスコートすることになっている。このことはグレースと踊った時に教えてもらった。

 そうこうしている間に後ろのテーブルの地元の女の子が俺をダンスに誘って来た。だが、俺はみんなが戻って来るまで荷物番をしていなければならないので断わりつづけた。が、その間にみんなが戻って来て、アントニオにも促されたので彼女と踊ることに。1曲終ったところで戻ろうとしたが、彼女は帰してくれない。スペイン語しか話せない彼女に何か言われてもわけが分らない。

 やっとの思いでテーブルに戻ったら、彼女のテーブルにいる英語が話せる娘が俺に「彼女がまた踊りたいと言っている」と通訳してきた。そして再びダンスフロアーへ。ちょっと太めだけどかわいい。彼女の名前はマルタと言うらしかった。彼女とダンスを楽しんでいると突然アントニオが登場。「女の子達をユースに帰すから、みんな帰るけど、もっと踊っていたけりゃいてもいいよ」と言う。俺は一人でメキシコに取り残されたらたまらん、と思い「みんなと帰る」と言った。アントニオマルタにスペイン語で通訳してくれたので俺はやっと解放された。しかし、アントニオが彼女に「明日も来るから今日は帰してやってくれ」と約束したらしく明日も来るハメになってしまった。

 帰り道、マリーはすっかり酔っぱらい状態。ひとりで喋りつづけていた。飲みに行く前は一言も口をきかなかったのに。変われば変わるものだ。アントニオは俺を見る度に「Scaliwag」と言って大笑いする。「女を騙す悪いヤツ」みたいな感じのスラングらしい。

 今夜のような体験は滅多にできることじゃない。異国の仲間とメキシコまで飲みに行くなんて。旅に出る前はこんな楽しいことが待っているとは思ってもいなかった。


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