アメリカひとり旅日記2

4月19日(水)  サンタフェ 晴れ  エルパソ 晴れ

 5:30amモーテルを後にする。これから5km以上の道を歩いてバスディーポに向かわねば。まだ空には星が出ている。気温2℃。やっぱりこんな時間に歩いているのは俺だけだ。でも、サンタフェは治安が良さそうなので不安はない。むしろ不安なのは道に迷うことだ。が、1時間弱で無事にディーポに到着。すでに太陽が昇っている。ディーポは7:00amからの営業だ。小便を我慢しながら待つ。メキシコ系の親子3人も先に来て待っている。娘さんは日本に来ても通用するぐらい可愛かった。何やら話し掛けられたが、スペイン語で分らなかったので「寒いね」とだけ答えておく。

 バスは7:30amに定刻通り出発。今回はバッグを預けることができた。アルバカーキでドライバー交代と45分の休憩したあとバスは再び走りつづける。南へ行くにしたがって砂漠の植物が変化していく。やがてサボテンが出現。地平線まで続くまっすぐな道。日本では見ることのできない風景。途中、フリーウェイ沿いのカフェ兼ディーポのような所に何度か停車した。こんな所に誰が住んでいるのか、というような場所にあるディーポから孫に連れられた老婆がひとりで乗ってくる。今日のバスの乗客は年配者が多い。

 4:15pm、9時間かかって定刻通りエルパソのディーポに到着。ディーポを出てタバコを吸っていると、またタバコをねだられる。そいつとタバコを吸いながら話していると「俺はホームレスなんだ。助けてくれないか?」と言ってきた。「金はない」と言うと「とにかくタバコをありがとう」と言い残して去って行った。アメリカのホームレスは一般人と区別がつきにくいことが多い。4191.jpg

 観光案内所を探す為に歩き始めたが迷ってしまった。通りはやたらにぎやかで活気がある。しかし、観光案内所はにぎやかでない場所にあった。有力な情報は得られなかった。どちらにしろ今回はユースホステルに泊まるつもりだ。エルパソにやって来たのは、カールスバット洞穴に行く目的もある。ただし、そこへは車がないと行けない。ユースに泊まれば情報が得られるし、運がよければ誰かといっしょに行けるかも?インターネットで知り合った「たきさん」からユースのアントニオ氏を訪ねれば何とかなる、との情報もあったから。

 ユースホステル兼ホテルの「GARDNER HOTEL」に行ってみた。ここは人気があると言う噂だったので、予約のない俺は不安だった。網戸がついた二重ドアを開けると広いロビーになっている。年代物の電話交換機とかアンティークなモノが置いてある。でも、お世辞にもきれいな所ではない。カウンターで、予約がないけど今日泊まれるかを尋ねてみた。カウンターのオッサンは「予約もないのによく来たね〜。」と大袈裟に驚いてみせた。でも、O.Kだった。そして、部屋はドーム(相部屋)がいいのか、個室がいいのか、を尋ねられた。俺はドームでもよかったが、オッサン曰く、「タバコが吸えるから個室がいいだろう」。ってなわけで、迷っているとオッサンは部屋を見せてくれた。トイレと風呂は共同だ。部屋も日当たりが悪く汚い。でもこれで$22なら安い。この部屋に決めた。4192.jpg再び手動ドアのエレベーターで1階のカウンターに戻って宿泊手続きをとる。カールスバッドにも行くので5泊することにした。オッサンは地図を見せてくれてエルパソの見どころや、国境を越えてメキシコファレスへ行く時の注意やらを親切に教えてくれた。そして最後に日本語で「ワタシのナマエはアントニオです」と自己紹介をした。なんと、このオッサンがアントニオだったのだ。こんなに苦労せずに会えるとは思わなかった。で、早速カールスバッドへ連れ行ってくれるように頼んでみた。「今は車がないから君がいる間になんとかするよ」と言った。

 部屋でしばらくくつろいでいるとアントニオから電話があった。何を言っているのか分らないのでロビーまで降りて行ったらメキシコでタバコを買う時の説明だった。やっぱりユースは親切だ。そのまま街の散策に出てみた。ドラッグストアファーストフードも近くにあるので居心地は良さそうだ。日本の駄菓子屋みたいな店もいっぱいあるし、ディスカウントストアも多い。国境近くの店で$1.99サンダルを買った。街の風景は懐かしい感じがする。街中で聞かれる言葉も音楽もほとんどがスペイン語。でも、なぜか歩いていても不思議と違和感がない

 ユースに戻るとカウンターのアントニオが「今夜ビリヤードに行くけど、行かないか?」と誘われた。ルールがわからないので最初は断わったが、教えてくれると言うので言ってみることにした。10:15pmロビーで待ち合わせだ。他にも誰か来る予定だったが、けっきょくアントニオと2人で行くことになった。ユースから4ブロックの所にある「TAP」というプールバーだった。アントニオ行き着けの店らしい。ビールを飲んでしばらくの間英語がよく分らない俺と会話にならない会話をしていた。プールテーブルが空くとアントニオはビリヤードのルールを教えてくれた。8ボールだ。しばらくするとフロリダから来た5、6人の学生達と合流した。俺は日系人のショーンと対戦した。そんなこんなでけっきょく2:00amに閉店するまで飲んでいた。

 アントニオと学生達はまだ飲み足りないらしい。ユースまで学生達の乗って来た車に押し込まれ戻った。飲酒運転じゃん。アントニオと学生達はこれからアントニオの部屋でテキーラパーティーするらしい。俺は今朝早かったので遠慮しといた。アントニオおそるべし。でも、このユースに来なかったらこんな面白い体験はできなかっただろう。英語ができない俺がみんなと遊んでると思うと不思議な感じがする。


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