アメリカひとり旅日記3

9月28日(金)  フェニックス〜ラスベガス  晴れ

 

 前8時、他のベットの目覚まし時計の音で目が覚めた。部屋にまだ残っていたのは、昨日の日本人1人とでかい白人と俺の3人だけだった。もう他のみんなは旅立ってしまったようだ。日本人も9時にはエルパソに向かって旅立った。シャワーを浴びて庭でタバコを吸ってると、日本人の女の子3人がチェックインしていた。俺もこれからラスベガスへ向かうので彼女たちとはたいして話をしなかった。今日は自分からスーに「何か手伝おうか?」と聞いてみたら昨日と同じく床掃除をすることになった。適当に掃除を済ませてチェックアウト。

 

 回はラスベガスに行く予定はなかったのだが、2日間余裕ができたので4回目のラスベガスに行くことに急きょ決めたのであった。ただ週末のラスベガスの宿泊費が高いのが気がかりだった。市バスを乗り継いでグレイハウンドバスのディーポへ。12:25pm発のラスベガス行きのチケットを買った。今回のテロ事件の義援金$1を払ったら、バスの型紙に名前と出身地を書かせられた。それがチケット売場のカウンターに貼り出してもらえるのだ。待ち合い室で座ってバスを待っているとフィリピン出身のオッサンに話しかけられた。少し話していたが話題が続かないので昼飯を食いに売店に行った。

 

 スは少し遅れて発車した。俺の隣のは誰もいない。ラッキー、と思って30分ぐらいゆったりと座っていたら、後ろの方の席から移って来たらしいスーツ姿の男が隣に座りやがった。しかも、シートに置いてた俺のトレーナーの上にだ。「ここに座ってもいいですか?」の一言もなくだ。アメリカでは黙って人の隣に座ることなどない。言葉を交わさないまでも、お互い笑顔であいさつする。グレイハウンドバスには不釣り合いなのはスーツ姿だけじゃなく、この男そのものに見えた。この時点で少しムカついていた。他の席が空いてるのになんで俺の隣に移ってきやがったんだ?さらにムカつくことに、その男がバッグからモノを取り出す度にそいつのヒジが俺に当っている。軽いヒジテツ位の力で当ってるのだから、その男も気づいていないはずがない。なのに「エクスキューズミー」の一言もない。さらにヤツは自分のバッグを俺とヤツのシートの間に置きやがった。それでなくても狭いシートなのにだ。しかも俺の体を利用してバッグを立て掛けてる。俺は完全に物扱いにされている。バカにされてるのだ。バスは空港の中にも停車するので、その男は前の方の席に移ったのかも?と思って我慢していたが、空港に着いてもヤツは降りなかった。飲み終ったペットボトルをヤツは俺に渡そうとした。俺に捨てろとでも言わんばかりに。さすがに俺はムカついた顔をして「NO!!」と断わった。その後、その男はバックから殻付きの豆を取り出して食い始めた。殻は全部バスの床の上にばらまき放題。床に殻の一山を作りやがった。その様子を見ていた通路をはさんだ席のメキシコ人のオバチャンと目があった。そのオバチャンも「うんざり」と言った感じで俺に目配せをした。その豆の殻の一山のせいで、その男がフラッグスタッフで降りた後にドライバーから「オマエがやったのか?」と俺に疑いがかかった。今度、そのスーツ姿の男に会ったらブッコロス!!

 

 スはフラッグスタッフでドライバーを交代して走り続けた。窓の外の景色はあいかわらず荒涼としている。だが、アリゾナ州を抜けてからはサボテンが少なくなった。うとうとしている間に日が沈んでいた。遠くに街の灯が見えてくる。ラスベガス?。と思ったが小さなカジノの街だった。もうネバダ州に入ったのだ。ドライバーはこのルートを運転するのが初めてなのか小さなディーポへの道をしょっちゅう間違える。その度に乗客が道を教えていた。だが、誰も怒ったりしない。

 

 がて、さっきよりも30倍は輝いてる街の灯がフロントガラスを通して迫ってくる。ラスベガスに着いたのだ。とうとうラスベガスに4度も来てしまった。バスは予定よりも1時間45分遅れてディーポに到着。真夜中のラスベガス。しかも週末の。ディーポをでるとそこの目の前にある去年泊った「NEVADA HOTELを尋ねてみた。$44。しかしエアコンが全館でダウンしていた。蒸し暑い。部屋を見せてもらったが、明日の昼にはどうなるのか、と思うと宿泊をキャンセルした。そして通りをはさんだ「BADGET INN」をあたってみた。$39。週末のラスベガスってことを考えると破格値だ。モーテル形式の宿だけどセキュリティもしかっりしてそうだったので、ここに決めた。

 

 物を部屋に入れるとすぐさまカジノに向かった。深夜1時近かったが、飯代を稼ぐ為に。フリーモント・ホテルのカジノに入ってみた。スロットマシンに$20突っ込んであえなく敗退。宿の部屋に戻ってここまでの度で使った費用を計算してみた。いままでで一番お金を使っていない旅だ。これから先の予定を考えてもだ。だんだん旅のしかたが分かって来たのかも知れない。まぁ、メキシコに10日もいたけどね。


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