アメリカひとり旅日記3

9月25日(火)  ツーソン  晴れ

 

 朝もまた最後に起きた。今日はオールド・ツーソン・スタジオまでユースの誰かに送ってもらうことになっている。てっきり宿泊客の一人かと思っていたモナと言う女の子が運転してくれることになった。車はボロボロで運転手側のドアは追突されたらしく大きくへこんでいた。もちろんドアは開かない。助手席側から乗るしかないのだが、こちら側のドアも外からしか開かないのだ。もちろんエアコンなんてついていなかった。アメリカの女の子とドライブすることになるとは思ってもみなかった。車はどんどん郊外に入って行く。モナは会話をするでもなしに運転している。見ため通りおとなしい。しかし、こっちも英語が得意じゃないんで上手く話せない。気まずい空気のままオールド・ツーソン・スタジオに着いた。が、なぜか今日は休みだ。昨日ネットで調べてきたのに・・・。なんで?

 

 りあえず来た道を戻ることに。モナが「他に行きたい所はある?」と聞いてくれたので「サワロ国立公園」行くことにした。ガソリンスタンドでガスを入れコンビニで水と昼飯を買って再出発。砂漠と岩山の中をサボテンだけがどこまでも続いている。これこそアメリカの自然って感じだ。山道をしばらく走るとサワロ国立公園のビジターセンターに着いた。午後5時にまたここに迎えに来てくれることを約束してモナは帰って行った。ビジターセンターの中の地図を見てみると、ここから国立公園のトレイル(山道)までかなりの距離があることが分かった。車がないと動きがとれないのだ。どうしようもないのでパークレンジャーに相談した。車なしであと5時間で行ける場所を。パークレンジャーは「デザート・ミュージアム」とその周辺のトレイルを紹介してくれた。しかもユースに電話してくれてビジターセンターじゃなくてデザート・ミュージアムに迎えに来るように言ってくれた。しかし、デザート・ミュージアムまでも歩けばかなりの距離だ。どうしようかと考えてると、さっきのパークレンジャーが老夫婦に俺が車に乗せてもらえるように頼んでくれた。老夫婦は快く俺を乗せてくれた。エルパソから来た夫婦だった。15分ぐらい走るとデザート・ミュージアムに到着。親切な老夫婦とはここで別れた。やっぱりアメリカには親切な人がたくさんいる。困った時は必ず助けてくれる。

 

 ザート・ミュージアムには、ほとんど放し飼い状態のとかコヨーテとかがいた。ハミングバードも初めて見た。小さくてまさに蜂鳥だ。ロードランナーもいた。バックスバニーのアニメよりもかなり小さい。人工の洞くつの展示もあって探検気分も味わえる。砂漠の中も歩いてまわれる。デザート・ミュージアムを午後1時半頃に出た。次は本物の野生の自然を見る為にサワロ国立公園トレイルに歩いて向かった。デザート・ミュージアムの前にトレイルの入口があることに地図上ではなっている。が、道らしいものはない。なんとなく左に歩いて行けば道がありそうな気がした。200メーターぐらい道路を登って行くとそれらしい砂利道が見つかった。人の気配は全くない。上り坂をどこまでも歩いた。日光を遮るものは何もなかった。この暑さの中、このトレイルを歩いているのは俺だけらしい。汗はすぐに蒸発してしまう。まわりは人の高さの2〜3倍はあるサボテンだらけ。木の代わりにサボテンが生えてる感じだ。谷底には干上がった川の跡が見えている。遠くにはツーソンのダウンタウンも見える。山の頂上に着くとピクニック・テーブルがあったので休憩。持ってきた水を飲んだ。はっきりいってお湯だ。少し休んでから歩き始めたが、道が分らなくなった。蜂の大群の中を通り過ぎて不安になった。野生動物が襲ってきたらどうしよう?こんな所に誰も助けに来てくれないだろうな。とりあえず、谷底に向かった。そこがトレイルだと思ったのだ。これは道なんだろうか?単に干上がった川なのか?動物の足跡がたくさん砂の上に残っていた。方向があってるのかも分らないまま歩き続けた。午後5時にはユースの車が迎えに来る。このまま歩いてダメなら引き返そうと思っていた。ふいに車のエンジン音がした。すぐ側に道路がある。なんとかトレイルを抜けられたのだ。そしてデザート・ミュージアムまで歩いて戻った。

 

 時間ぐらい待っているとエリサが車で迎えに来てくれた。途中、スーパーに寄ってもらって夕食の材料を買った。ユースに戻ってみると同じ部屋に日本人入っていた。コウイチロウ君と言うカリフォルニアで仕事の仕事を辞めて旅をしている人だった。裏庭に行ってみるとロベルトがピンポンをやっていた。俺も強制的にやらされた。そしてロベルトは今日、郵便局かどこかで拾ってきたメアリーと言うけっこうかわいい娘を紹介してくれた。彼女もいろいろ旅をしてきたらしい。でも、どこから来てどこに行くのかは誰にも教えてはくれなかった。でもって、ロベルト、コウイチロウ君、メアリーそして俺の4人で裏庭のテーブルで話をした。ロベルトのアパートの部屋からビールを持ってきて飲んだ。ロベルトが「"Luck"を日本語でどう言うんだ?」と聞いたので「」と教えてあげた。それを聞いたメアリーが「ウニ?」と発音したのでみんなで大爆笑になった。ロベルトは今日、また仕事が見つかったらしくハッピーだった。ロベルトはツーソンに10日前に来たときは不安だったが、こうして仕事が2つ見つかったし、俺たちに会えたことやエリサと仲良くなれたことなどを感謝していた。

 

 食の後も俺はロベルトエリサとポーチで深夜まで話をしていた。明日フェニックスに向かうのがもったいないくらい楽しい。やっぱり旅は人の巡り合わせの善し悪しで楽しさが違うのだ。エリサの腕のタトゥーが入っている。何かの記号か文字だ。それを見てエリサが言っていた「Foolish before Brilliant」と。どう言う意味か尋ねたら「ほら、コロンブスだって初めは地球は丸いって言ってバカにされたでしょ?でも、けっきょく地球は丸かった。」と教えてくれた。つまり、「まわりからバカに見られようと自分が信じたことをやりなさい。そうしたらいつか輝く時が来るから」、って言いたいんだと思った。ロベルトもその事をいろんな表現で俺に分りやすく教えてくれた。


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