『Miniture Handbook』クラスレビュー

2004.10.03 byMK2


■フィーヴァードソウル

転職前クラスの例:初期クラス
ベースアタック:クレリック
セーブ:Fort、Ref、Will
HD:d8
呪文:レベル毎+1
総合評価:B
出典:Miniture Handbook

 天性の信仰呪文使い。
 信仰呪文版ソーサラーという感じで、1日の呪文数が多く、呪文準備が要らない代わりに修得呪文数に制限があります。
 その他、良好セーブが3つだったり、ヒットダイスがd8なのはスペルキャスターの中では恵まれている方でしょう。
 ですが、クレリックに比べるとターンアンデッド能力や領域特典がなく、他にもこれといった魔法系の特殊能力がないので、単体のスペルキャスターとしては地味な印象です。
 なぜか《武器開眼》がもらえたり、空が飛べるようになったりはするんですが……。
 逆に、最初から基本能力は高いので「プレステージクラスのために1レベル挟む」などには大変適しています。
 ちなみに『Complete Diveine』にも同名・同能力のクラスが再録されているようです。

【メモ】
 信仰呪文版の「ウィザードとソーサラーはどちらが有利か」という話に尽きますね。
 クレリックが元から(キュア呪文の)任意発動が可能なクラスと考えると、ウィザードに対するソーサラーほどのアドバンテージがこのクラスにあるかどうかは微妙なところです。
 とはいえ、呪文の運用方法は個々のプレイスタイル次第なので、ソーサラー型のほうがウィザード型よりも力を発揮するプレイヤーさんであれば、迷わずフィーヴァードソウルを選ぶべきでしょう。
 個人的には、「領域特典がないのがロールプレイ的に寂しいなー」という気が。


■ヒーラー

転職前クラスの例:初期クラス
ベースアタック:ウィザード
セーブ:Fort、Will
HD:d8
呪文:レベル毎+1
総合評価:D
出典:Miniture Handbook

 治療呪文に特化した信仰呪文使い。
 覚えられるのが回復呪文ばかりになってしまう代わりに、回復呪文の際に機会攻撃を受けなくなったり、使い魔にユニコーンがもらえたりします。
 ただ、超常能力などで使用回数は若干増えるものの、治療能力そのものが高くなるわけではないので、PCが回復役として使うならクレリックにワンドを持たせるのと変わりません。
 それどころかキュア呪文の任意発動もできないらしい。
 まあ、もともと回復呪文しか使えないのですけど……。

【メモ】
 このD&Dというゲーム、攻撃を喰らってからでは遅い(?)ゲームですので、治療能力「だけ」のスペルキャスターなんて役には立たないでしょう。
 使うとすれば、マスターが「強すぎない協力者NPC」を出す時に使う程度でしょうか。


■マーシャル

転職前クラスの例:初期クラス
ベースアタック:クレリック
セーブ:Fort、Ref、Will
HD:d8
呪文:レベル毎+1
総合評価:A
出典:Miniture Handbook

 軍隊の指揮官、あるいは軍師といったようなクラス。
 ほぼ唯一にして最大の特殊能力が「オーラ」です。
 これはディテクト呪文に反応する系のオーラなどとは違い、「60フィート以内の声に聞こえる範囲の味方全員の能力を底上げする」という、バードの呪歌のような能力です。
 マイナーとメジャーの2種類のランクがあり、どんどん数が増えていきます。
 これがどれもマジヤバイ。
 マイナーは「該当する判定に《魅力》ボーナスを足せる」のですが、「《筋力》チェックや《筋力》ベースのスキル」とか、「機会攻撃を受けたときのAC」とか便利で広範囲なものがてんこ盛り。
 メジャーは効果こそ+1〜+4と限定されていますが、「ダメージ減少」「+1につきベース移動距離が5フィート増加」などと、これまた容赦なし。
 さすがに重ねがけや同ランクのオーラの同時使用はできませんが、それでも「マイナー1個+メジャー1個」は可能っぽく。
 あとは何故か「1日数回だけ追加の移動アクションが取れる」という能力を持っています。
 指揮官は逃げ足が速いってこと? むむう。

【メモ】
 「オーラ」は確かに強いんですが、それ以外の特殊能力が貧弱なので、生マーシャルはちょっと微妙。
 取得するオーラは自分で選択できることもあって、必要な種類のオーラを覚えたらさっさと転職するのが吉と思われます。


■ウォーメイジ

転職前クラスの例:初期クラス
ベースアタック:クレリック
セーブ:Will
HD:d6
呪文:レベル毎+1
総合評価:C
出典:Miniture Handbook

 攻撃魔法に特化した秘術呪文使い。
 武器が得意なわけではないので、「魔法戦士」ではなく「魔法兵」という感じでしょうか。
 呪文の使い方はソーサラーと同じくCHAで覚えて準備不要。使用回数も同じ。
 特殊能力は、Sudden系のメタマジックフィート(1日1回・呪文スロットのレベル変更ナシにEnpowerとかWidenとかできる)をもらえることなどですが、全体にもらえるレベルが遅いので、ありがたみは今ひとつ。
 そんな中、知力ボーナスを呪文ダメージに足せる「ウォーメイジエッジ」は、低レベル時にかなり役立ちそうです。

【メモ】
 どちらかといえばNPC向けのクラスですねー。
 PCはソーサラーをやるのが無難だと思います。
 もし素で「俺は攻撃呪文しか使わねえし」と言える方でしたら、どちらでも構わな──いや、パーティーの仲間のためにソーサラーにしてください、お願いだから(笑)


■ボンドサモナー

転職前クラスの例:ウィザード/ソーサラー
ベースアタック:ウィザード
セーブ:Will
HD:d4
呪文:最大+5レベル
総合評価:A
出典:Miniture Handbook

 1系統のエレメンタルに特化した秘術呪文使い。
 MoWによくあった「なっちゃう」系です。
 その他、エレメンタルをいちいちサモンするのではなく、使い魔として持っておけるのが特徴。
 最初はミディアムのみですが、5レベルでヒュージ、9レベルだとエルダー(HD24でhp204!)を使い魔にできます。んな無茶な。
 しかも使い魔のくせに、死んでも24時間後には召喚し直せるそうな。ず、ずるい…。
 エレメンタルなので場所や相手によっては役に立たないこともあるでしょうが、平均的にみれば相当高い戦力になれると思います。

【メモ】
 スペック上の戦闘力は文句なく高いんですが、エレメンタルは完全耐性を持つ敵が少なくないことと、術者レベル上昇が半分になることを考えると、高レベル戦ではやや厳しいかもしれません。
 何かいいコンボがありそうな気はするのですが……。


■ドラゴンサムライ

転職前クラスの例:ファイター
ベースアタック:クレリック
セーブ:Fort、Will
HD:d10
呪文:なし
総合評価:D
出典:Miniture Handbook

 特定の種類のドラゴンに仕える氏族の戦士。
 その種類のドラゴンのブレスが吐けたり、耐性がついたりします。
 ただ、あくまで「ドラゴンに仕える戦士」ということのようで、「ドラゴンの能力を得る」という点ではT&Bのドラゴンディシプルに一歩譲るようです。
 その代わりにドラゴンと仲良くなったり、騎乗したりする時にはボーナスがつきますが。
 Willセーブが良好なのは戦士系としてありがたいですが、BABがクレリックになるのは痛すぎ。

【メモ】
 善にせよ悪にせよ、NPC向けのクラスだと思います。
 これで「ドラゴンの住処に同居する人間型種族のNPCグループ」とかを大手を振って出せますね。


■ハボックメイジ

転職前クラスの例:ウィザード/ソーサラー
ベースアタック:クレリック
セーブ:Fort、Will
HD:d8
呪文:最大+3レベル
総合評価:B
出典:Miniture Handbook

 「戦闘中に呪文を使える」秘術呪文使い。
 イラストは「僧兵」っぽいんですが、使うのは秘術呪文です。
 特殊能力は「バトルキャスト」。「全ラウンド行動で攻撃行動と呪文(スタンダードアクション以下のもの)を同時に使える」という能力です。
 実はバトルキャストで呪文を使っても機会攻撃を引き起こしません。かつ両手が塞がっていてもOK。ある意味ヘイストよりも優秀(?)です。
 なので「トゥルーストライクしながらパワーアタック」「斬りつけ即インビジヴィリティ張り直し」とかも簡単にできちゃうのです!
 魔法戦士スキーの人にはたまらない能力ですよね!
 呪文レベルは最大3レベルしか上がらないとありますが、全体が5レベルしかないので悪いというほどではないです。

【メモ】
 魔法戦士スキー以外の人には用のないクラスかと・・・
 しかし魔法戦士クラスとしては、エルフ以外でもなれるし、スペルソードあたりより格段に便利なので、一考の価値はあると思います。


■スカルクランハンター

転職前クラスの例:ローグ
ベースアタック:クレリック
セーブ:Ref、Will
HD:d6
呪文:なし
総合評価:A
出典:Miniture Handbook

 アンデッド滅殺にすべてを賭ける追跡者。
 同じ「対アンデッド要員」であるハンター・オブ・ザ・デッドのように呪文やターン能力は持ちませんが、アンデッドの特殊能力に対する完全ともいえる耐性と、スマイトの代わりに通常攻撃で無条件スニークダメージ(もちろんアンデッドに対してだけですが)という特殊能力を持っています。
 また、スキルが全体にローグ系で充実しており、スニーク能力もそれなりに伸びることを考えると、こちらのほうが普通の冒険にも汎用性はありそうです。
 というか、アンデッド対策に悩む戦闘系ローグにとっては、上位クラスとして普通に考慮していいと思います。

【メモ】
 純粋に「対アンデッド要員」としての価値を考えた場合、腐っても「問答無用に“真の死”を与えられる」ハンター・オブ・ザ・デッドという部分もあり、悩むところでしょう。
 キャンペーンの傾向を考え、どちらがより効果的にマスターが嫌が──もとい、あなたのロールプレイにふさわしいか(笑)をよく検討しましょう。


■タクティカルソルジャー

転職前クラスの例:ファイター
ベースアタック:ファイター
セーブ:Fort
HD:d10
呪文:なし
総合評価:B
出典:Miniture Handbook

 戦術的に戦うことに長けた戦士。
 自分の機会攻撃範囲にいる味方が受けた近接攻撃ダメージを代わりに自分が受ける「インターポーズ」や、自分が最後に殴った敵が他の誰かに倒されたら自分もついでに《薙ぎ払い》してよいという「ディレイドクリーヴ」など、ビミョーな特殊能力がずらりと並んでいます。
 ひたすら地味なクラスなんですが、特に3.5版では今のところ、神に仕えたり騎士の誓いを立てたりもしないし人間でもなれる「純・重戦士系」のプレステージクラスは意外に多くないようなので、普通にファイター系を続けたい方(?)にはおすすめかも。
 3.0版から見ても、そもそもS&Fにこういうプレステージクラスがないのがヘンなんですよね。
 とりあえず、機会攻撃するたび5フィートステップできる「サイドステップ」という「割と便利だけどフィートで取るのは面倒な特殊能力」が2レベルにあるので、これを取るだけでも損ではないと思います……HFOにとっては(笑)

【メモ】
 欠点らしい欠点はないんですが、「職業戦士であること」にロールプレイ的なこだわりがない人には、それほど強い魅力はないかも。
 「違いが分かるHFO」にはなれるかも知れませんが、それ以上かというと微妙なので。
 ていうか、強くなりたいならそれ以前にHFOなんてすぐに辞め(以下検閲削除)


■ウォーハルク

転職前クラスの例:ファイター、バーバリアン
ベースアタック:なし
セーブ:Fort
HD:d12
呪文:なし
総合評価:D
出典:Miniture Handbook

 脳ミソ筋肉なドーピング戦士。パワー以外の全てを捨てています。
 Lサイズ以上の生物しかなれませんので、通常はNPC専用ですね。
 BABが上がらない代わりに、なんと毎レベルSTRが2ずつ上昇していきます(最高+20!)。
 その筋力の代償に、〈挑発〉以外のInt、Wis、Chaベースのスキルが0ランク扱いになってしまいます。
 あとは岩を投げたり、武器を振り回して隣接マス全て(レベルが上がると隣接2マスに増える)に攻撃してみたりします。
 全体に、攻撃力の上昇の割に防御力や耐久力は上がらないのが弱点といえば弱点。途中でタフネスのフィートを得るようですが……。
 やっぱりドーピングはいけないと思います!

【メモ】
 STRが高いというだけでマスターとしてはイロイロな使い方はあるでしょうが、戦闘のことだけなら素直に大きいモンスターを出したほうがよさげな罠。
 闘技場や中ボスっぽい敵NPCなど、特定シチュエーションの演出に使うくらいですかね。


■ウォーチーフ

転職前クラスの例:ファイター、バーバリアン
ベースアタック:クレリック
セーブ:Fort、Will
HD:d10
呪文:なし
総合評価:B
出典:Miniture Handbook

 未開部族の、戦闘における指導者。NPC専用でしょう。
 部族の戦士たちをまとめて凶暴化させる「トライバルフレンジー」能力を持っています。
 フレンジーといっても最初は効果が弱く、1レベルではSTRに+2に過ぎませんが、なんと9レベルになるとSTRに+10されるそうな……って、フレンジーなのにACのペナルティが入らないのは何故?!
 しかも自分の部族であればフレンジーさせられる戦士の数に制限がないっぽいので、巨大部族のウォーチーフを怒らせるとそれはもう大変なことに。
 また、ウォーチーフ自身もCHAがどんどん上昇し、護衛にダメージを肩代わりさせる能力を身に付けます。

【メモ】
 大規模な戦争のあるキャンペーンなどでは、「圧倒的不利な戦況をモンスター側の有力ウォーチーフを暗殺して打開する」シナリオなどは非常に白熱するのではないでしょうか。
 マスターの立場から見ると、すごく萌えるクラスですね!(えー